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近年、精神疾患を患う人が増加傾向にあります。「平成25年度公立学校教職員の人事行政状況調査について」(文部科学省)によると、教育職員の精神疾患による病気休職者数(平成25年度)は5,078人で平成19年度以降、5,000人前後で推移しています。

 

「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)では、過去3 年間の病気休職制度の休職者1 人以上の割合(休職者がいる企業割合)は52.0%となっており、さらに病気休職の取得を経て復帰した従業員の再発の繰り返し状況は「ほとんど再発はない」とする割合が、精神疾患の場合47.1%、その他の身体疾患の場合79.3%で精神疾患の場合、再発を繰り返す割合がおおむね高くなっています。

 

「休職」とは、労働者側に労務提供が不能または不適当な事由が生じた場合に、使用者がその労働者に対し、労働契約関係自体は存続させつつ労務提供を免除すること、または拒否すること(「就業規則の法律実務」(第3版)石嵜信憲編著)と定義されていますが、労働基準法等、法律上の制度、定めは全くありません。

 

そこで、私傷病を理由に欠勤している従業員の取扱いでは、実務上「就業規則」等による「休職規定」が重要なポイントになります。(従業員が私傷病時に利用できる「休職」制度うち、就業規則等の規定状況は、「規定されている」が77.7%となっています。(独立行政法人労働政策研究・研修機構))

 

「休職規定」を確認、設定する上で重要なことは、「休職期間」が自社の企業規模、人員配置等に本当に合致しているかと言うことです。モデル就業規則等では1年超の期間設定も見受けられますが、人件費が「固定費」となる中小企業においては現実的ではないと考えます。

期間を検討するにあたり、会社に対する過去の貢献度等を考慮する意味でも、個人的には勤続年数により休職期間に差を設けるようにしています。

 

また、「再発」の場合の休職期間の通算制度も設定すべきです。上記のとおり、精神疾患の場合、半数強の方がある程度の期間をおいて再発を繰り返します。休職の繰り返しを防ぐためにも、通算制度を定め、再発時にも対応できるようにしておくことが大切です。

 

 最後に、休職中の労働者から職場復帰の意思(復職)が伝えられた際、会社は労働者に対して「職場復帰が可能」という判断が記された診断書の提出を求めます。

その際「会社指定医への受診を命じることができる」ことを就業規則等に定めておくべきです。

 「改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(厚生労働省 中央労働災害防止協会)にもありますが、主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度によって職場復帰の可能性を判断していることが多く、職場で求められる「業務遂行能力」まで回復しているとの判断とは限らないためです。

復職の可否については、診断書の内容、その他の事情を考慮して「会社の責任」において決定することが実務上、大切です。

 

休職について

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