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 先日,「中小企業における退職金」について同業者で考えてみました。

 

 大手企業における「退職金」は「賃金の後払い的な性格」「功労報償的な性格」を併せ持つと一般的には言われています。

 これは日本的雇用システムの特徴でもある「終身雇用」「年功序列」に対する「労働者の永年の勤続に対する功績」という発想が基となっています。

 

 これに対し中小企業における「退職金」は制度導入の「意義」「支給金額に対する考え」が明確となっていないケースが多いように感じます。

 

 「民間企業の場合,退職金制度を設けるか否か,つまり退職金を支払うか否か,支払うとしてどのような内容にするか,については,使用者の自由に委ねられてい」ます。(論点体系 判例労働法2 第一法規 編集 菅野和夫 安西愈 野川忍)

 

 中小企業においても,入社から定年退職までひとつの会社で働き続ける方が多い業種・業態であれば退職金制度の導入は意義があるのではないかと考えますが,中途採用(欠員補充)が主でヒト(従業員)の入れ替わりが多いような企業は退職金という「制度」自体,不要ではないかとも思われます。

 

 また「労働者の退職後の生活保障」の意味合いが強かった「退職金」に代わり,中小企業においては年金支給額の減少に伴い「最後まで働ける場」を提供するという発想も今後,大事になるのではないかと考えています。

 

 なお「求人票に退職金共済制度に加入する旨明示していたが,実際には加入していなかった事案で,加入していたら得られたであろう退職金相当額の支払いを命じた裁判例(株式会社丸一商店事件 大阪地判平10.10.30)」「中退共制度が退職労働者の福祉の増進にあり,加入することについて合意がある場合は労働契約の内容となる。事業主がこの制度に加入しながら,掛金の支払いを怠っていた場合には,本来受給できた退職共済金相当額の損害賠償請求が可能と解される」(労働法実務解説2 賃金 旬報社 宮里邦雄 徳住堅治 編)とあるように求人時の対応はもちろんのこと,労働条件通知書・就業規則(退職金規定)の内容・支給要件等の確認を行ない,疑問等あれば専門家の意見を聴くことをおすすめいたします。

 

中小企業における退職金について

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