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国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」(死亡中位,出生中位)によれば,我が国の総人口は平成67(2055)年には9,000万人を下回り,「働く年齢」の中核の人々である生産年齢人口(15~64歳)の比率は約5割にまで低下する(内閣府男女共同参画局HPより)等,労働人口の減少及び有効求人倍率1.46倍(平成28年12月 山口県)が示すように,企業にとって「ヒトの確保」が喫緊の課題となっています。
また,「副業・兼業,拡大へ指針 政府,企業に容認促す」(朝日新聞 平成28年10月23日)「政府は,会社員が副業・兼業をしやすくするための指針づくりに乗り出す。会社勤めを続けながら,勤め先に縛られない自由な発想で新しい事業を起こしたい人を支援し,経済の活性化につなげるのが狙い。(略)」にもあるように今後は兼業・副業により「労働者をシェアする」という発想も増えていくのではないかとも考えます。
ただし,労働時間の管理においては注意が必要となります。
労働基準法第38条(時間計算)「労働時間は,事業場を異にする場合においても,労働時間に関する規定の適用については通算する。」と定められています。
1「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む。(昭23・5・14 基発769号)
2 問 二以上の事業主に使用され(労働関係ありとする)その通算労働時間が八時間を超える場合割増賃金は如何に処理したらよいか。
答 法定時間外に使用した事業主は法第37条に基き,割増賃金を支払わなければならない。(昭23・10・14 基発2117号)
3 賃金を負担しなければならないのは,(略)通常は,当該労働者と時間的に後で労働契約を締結した事業主と解すべきであろう。(労働基準法 上 厚生労働省労働基準局編)
とあるように自社で一週間について40時間,1日について8時間を超えて働いていない場合でも,他の事業場(企業)との時間を「通算」して法定労働時間を超える場合,割増賃金の支払義務が発生する可能性があります。
法制度の周知含め,お客さまと共に「ヒトの確保」という新たな課題に取り組んでいきたいと考えています。
兼業・副業について
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