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「試用期間」とは期間の定めのない従業員(正社員)の採用に際して、入社後一定期間を「試用」の期間として、その間に従業員の人物像・能力等の従業員適格性を評価して本採用の有無を決めるという目的から定められる期間です。(就業規則の法律実務(第3版)石嵜信憲編著参考)

 

労働契約法第7条は「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。(略)」としており、試用期間を設ける場合にはあらかじめ就業規則で制度化しなければなりません。

 

試用期間の長さについて、具体的な法規制はありませんが、合理的な理由が認められない長期間については、公序良俗違反(民法90条)として無効とされる場合があります。(ブラザー工業事件 名古屋地裁判昭和59.3.23労判439-64)

 

実務上は3か月から6か月を試用期間として定める例が多いですが、メンタル不調者が増加傾向にあることを考慮し、個人的には6か月とするのが望ましいと考えています。

また、試用期間の延長権限を確保するため、就業規則に「本採用の有無の決定をすることが適当でないと会社が判断した場合、1回に限り試用期間を延長することがある」とも定めます。

 

試用期間の途中または試用期間後、「本採用したくない」と相談を受けることがありますが、試用期間中とはいえ、既に「労働契約が成立」しているため、「本採用拒否」(使用者からの一方的な解約)は法的には「解雇」となります。試用期間中は従業員としてのテスト期間であることから通常の解雇と比べて「ほんの少し」だけ広い解約権が与えられているだけにすぎません。(三菱樹脂事件 最大判昭48.12.12労判189-16)

 

試用期間中の問題社員についても「書面」で「具体的な問題行動、禁止行為、能力欠如」等に対して業務指導書、注意書を出し、必ず本人に「報告書」を提出させます。注意後も改善されない場合は、何度も繰り返します。教育指導によって勤務態度等の是正をはかったという「実績」が大切になります。

 

最終的に試用期間満了時に問題社員に対し、それまで注意してきた「書面」および本人が「自分」で書いた「報告書」を示して問題点を再確認させ、「うちの会社には合わなかったが君に合う会社は他にあるから探そう」と退職勧奨を行い、解雇ではなく「合意解約」を目指します。

 

最後に試用期間中であっても雇用保険(失業保険)社会保険(健康保険、厚生年金保険)への加入は所定の要件を満たせば必要となりますのでお忘れなく。

 

試用期間について

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