障害年金の種類と障害の程度
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初診日にどの年金制度に加入していたかによって障害年金の種類が決まります。
等級
障害の程度
種類
1級
他人の介護を受けなければほとんど自分の用を成すことができない程度のもの
障害基礎年金(国民年金)
障害厚生年金
障害共済年金
2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもの
障害基礎年金(国民年金)
障害厚生年金
障害共済年金
3級
労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
障害厚生年金
障害共済年金
障害手当金
(一時金)
「傷病が治ったもの(※)」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの
障害厚生年金
障害共済年金
(※)「傷病が治ったもの」とは、器質的欠損や変形等の場合は、医学的に傷病が治ったとき又はその症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待できない状態に至った場合の事をいいます。
障害年金請求の流れ
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「初診日」の特定
「初診日」とは、障害の原因となった傷病で、初めて医師または歯科医師(以下「医師等」という)の診察を受けた日のことです。この「初診日」が確定しない限り、先には進めません。
具体的には次のような場合を初診日としています。
(1) 初めて診療を受けた日
(2) 同一傷病で病院が変わった場合は、一番初めに医師等の診察を受けた日
(3) 過去の傷病が治癒し同一傷病で再発している場合(※社会的治癒)は、再発し医師等の診察を受けた日
※ 医学的には治癒していないが、治療の必要がなく、一定期間以上健康な方と同様の生活を送っていたことを一度治ったとみなされることです。
(4) 誤診の場合で、その後に正しい傷病名が確定した場合であっても、最初の誤診をした医師等の病院で診察を受けた日
(5) じん肺症(じん肺結核を含む。)については、じん肺と診断された日
(6) Aという傷病が原因でBという傷病になった場合、AとBは相当因果関係がある同じ傷病として扱われ、初診日は最初の傷病であるAの初診日
(7) 先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日
(8) 発達障害(アスペルガー症候や高機能自閉症など)は、自覚症状があって初めて診療を受けた日
(8) 先天性心疾患、網膜色素変性症などは、症状が出現し、初めて診療を受けた日
(9) 先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は出生日が初診日、また、青年期以降になって変形性股関節が発症した場合は、発症後に初めて診療を受けた日
〈注〉整骨院・ほねつぎ、鍼灸院等は初診日とは認められません。
「保険料納付要件」の確認
「初診日」までに納めた保険料が一定の基準以上あることが必要です。
具体的には以下のどちらかを満たしていることです。
①初診日のある月の前々月までの被保険者期間に3分の2以上保険料を納めていること。つまり、3分の1以上の保険料の未納がないこと。
②初診日のある月の前々月までの直近1年間に未納がないこと。
「障害認定日」時点で障害年金の認定基準を上回る状態であること
「障害認定日」とは、初診日から起算して「1年6か月を経過した日」のことです。
また、1年6か月を経過する前に症状が固定し、治療の効果が期待できない状態を「傷病が治った状態」とし、そこを障害認定日とすることもあります。
1年6か月を経過する前に障害認定日として取り扱う事例は次のとおりです。
傷病が治った状態
障害認定日
障害等級の目安
咽頭全摘出
咽頭全摘出日
2級
人工骨頭、人工関節を挿入置換
挿入置換日
上肢3大関節又は下肢3大関節に人工関節を挿入置換した場合は原則3級。(診断書の内容により上位等級となることがある。)
切断または離脱による肢体の障害
切断日又は離断日(障害手当金の場合は傷が治った日)
1肢の切断で2級、2肢の切断で1級一下肢のショパール関節以上で欠くと2級、リスフラン関節以上で欠くと3級
脳血管障害による機能障害
初診日から6か月経過した日以後、医学的観点から機能回復がほとんど望めないと認められるとき。
在宅酸素療法
開始日(常時使用の場合)
常時(24時間)使用の場合は3級
人工弁、心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)
装着日
3級
心臓移植、人工心臓、補助人工心臓
移植日又は装着日
1級
(術後の経過により等級の見直しあり)
CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)
装着日
重症心不全の場合は2級
(術後の経過により等級の見直しあり)
胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤により人工血管(ステントグラフト含む)を挿入置換
挿入置換日
人工透析療法
透析開始日から起算して6か月経過した日
2級
人工肛門造設、尿路変更術
造設日又は手術日から起算して6か月経過した日
左記のどちらか1つで3級
新膀胱造設
造設日
3級
遷延性植物状態(※)
状態に至った日から起算して3か月を経過した日以後、医学的観点から機能回復がほとんど望めないと認められるとき。
1級
(※)次の①~⑥に該当する状態
①自力で移動できない②自力で食物を摂取できない③糞尿失禁をみる④目で物を追うが認識できない⑤簡単な命令には応ずることもあるがそれ以上の意思疎通ができない⑥声は出るが意味のある発語ではない
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障害年金の請求
①認定日請求
障害認定日時点の障害の状態の診断書(傷病、症状により様式が異なります)を医師に作成してもらい、その他の必要書類を揃えて請求します。必要書類については人それぞれ違ってきますので、確認が必要です。
②事後重症請求
障害認定日時点では症状が軽く障害の状態(障害年金の認定基準を上回る状態)ではなかった方が、その後、悪化して障害の状態になった場合には、65歳に達する日の前日までであれば請求することができます。
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